DMR SFR 2段リンクについて

2024/10/5作成

SFR2段リンクとは

通常はDMR機のSFR機能を使ってDMRデジピーターの運用をおこないますが、同じchに設定した2台のSFR機を双方が届く範囲に設置して、お互いを起動しどちらか片方にアクセスすると、一旦受信した信号をslotを変えて 30mS後に送信し、相手のSFR機に届くと同様に再送信して、二つのSFR機を使って2段で中継する事です。

しかし、この方法はメーカーは勿論の事何処も推奨しておらず、我々研究会でイタズラ半分でやった所上手く中継され、その後2段リンクと称して結果を公開しているもので、元々理屈では二つのSFR機間を信号が行ったり来たりして、オーディオで言う所のハウリングの様なループ現象を起こすと想定していたもので、理論上はループが起こるのが当然で、何故上手く2段中継出来ているのか不明です。

しかし、他で実験をして頂いているグループからは頻繁にループが起こるとの報告もあり、同じ機材により行っても起こると言う事は通信環境に違いがあるのか判らず模索中です。 この方法は我々アマチュアが実験として行っており、業務無線機の世界で確立された技術ではありませんので、あくまでその辺をご理解の上実験を行って下さい。

SFR2段リンクの方法

まず2局は適当な信号強度で繋がる環境に設置されている事が必要で、適当と言っても難しくお互いの信号が安定して受信できる信号強度であれば弱い方が良いです。
次にアクセスする局の理想的な条件は、コチラのSFRには強く届き相手方には届かない方が良く、そもそも直接相手に届く環境であれば2段リンクさせる必要は無い訳ですが。

一番重要な事はSFR1の受信の問題で①の信号はSFR1が受信して、②の信号として送信された信号をSFR2が中継して、③、④の信号としてSFR1に戻って来ます。

ここで④の戻り信号と①のアクセス信号がぶつかり、強い方がSFR1に受信されます。

この時は①と④は時元は違いますがslotが同じなので、①が強くてSFR1に受信されればリンクが持続します。

④の方が強くて受信されるとこの動作は終わってしまい、本当ならそこでループが起こると思うのですが何とも不思議です。

この様なプロセスで2段リンクが成立する事を理解した上で実験すると上手く行くと思います。

元々2段リンクは我々がイタズラ半分の実験で偶然上手く行き、色々と実証を重ねて前述の通り結論づけましたが、本当にこれが正しいかは不明です。

メーカーや海外の資料からも同一波による2段リンクの記述は見つからず、確実性を優先する業務の世界では使用していない様で、我々がアマチュアだからこそ出来る事かもしれません。

ad hocモード

本来この様に複数のSFRをリンクする場合はad hocモードと言い、図で言う①と④がぶつからない様に④を別の周波数にする事で、衝突を回避してリンクさせる方式と思います。

つまり、単局SFRは1ch x 2slotで2回線を使いますが、ad hocモードでは2ch x 2slotで4回線使っている為、2段リンクは何とか誤魔化して1波で出来ますが、3段、4段リンクとなると理論的に無理となり、ad hocモードを使う事で2波使う為にデジピーターと言う、言い訳は出来なくなるのでレピーターと解釈される懸念があり、我々アマチュアにはこのad hocモードは使えないのではと考えています。

しかしこの方式もよく理解できておらず、勿論機材も無くダミーを繋いでの実験もできない為
に、資料や聞きかじった情報を元に勝手に解釈しているに過ぎません。 一説によると1波で行うとの情報もあり、どう考えても1波では4slotにしないと無理と考えますが2slotとの様でした。 もしかしたら隣接chを使うとの情報もあるので、2ch分を使い帯域を25KHzと考えれば確かに1chだとも言えて、この辺も全く想像の域を超えていません。

リンクチャンネル

現状は2段リンクする2局のSFRはそれぞれ別のchで運用していて、リンクする時はchを変えて両局共通のchをスキャンして使っていましたが、それでは1ch余計に使う事になり、せっかく1波で2ch分確保しているDMR運用には相応しく無いと考えました。

その方式とはどちらか一方のchを使う事で別に1波用意する必要が無くなりますが、その為には2段リンクする度に相手のchにSFR機を切替える操作が必要で、無人で山頂に設置されたSFR機では無理で、そこでTGとCCを少しいじってここはアクセス局の操作だけで、通常リンクと2段リンクを切替えて運用できる様に工夫しました。

その方法とは、元々のSFR運用はTG、CC共に1を使っていますが、別にスキャン用chとして自分とどちらかの周波数で、TG、CC共に2を設定したchを設定して用意します。 両SFR共に自局のchにスキャン用に設定したchを、スキャンリストに入れて自局chでスキャンさせて運用します。

具体的には下記の様な設定例になります。
SFR1局  5ch運用   8chでTG、CC共に2でスキャン
SFR2局  8ch運用   8chでTG、CC共に2でスキャン

この場合、アクセス機の設定はZONE1に通常のTG、CC共に1で16のchを設定し、空いているZONE2にCC、TGを共に2にしたch8を設定しておきます。

2段リンクする場合はch8に合わせて送信すると、こちら側のSFR機はTG2、CC2のch8でスキャン停止して、そのchでSFR動作して相手のSFRも同様の動作をして、TG2、CC2による2段リンクが成立する訳です。

アクセス機もスキャン機能を使い自身のSFR機のchに、TG、CCを共に2に設定したch8をスキャンリストに入れて運用します。

これにより相手よりTG2、CC2で呼ばれても聞き漏らす事も有りません。

同一chでもTGやCCを変える事で別chとして認識させており、CCだけを変える方法でも似た動作はしますが、時々エラーを起こしCC+TGにすると安定した動作をする様です。

注: 2段リンク等の実験を行う場合は予め対象となるデジピーター局の運用管理者としっかりと連絡・調整を行って頂くようお願いいたします。 事前の調整や管理者の許諾の無いリンク等はトラブルの原因となりますご注意ください。

終わりに

2段リンクは中々奥が深く興味深い通信方式で、是非挑戦してみて下さい。

まだまだ判らない事ばかりでそこを苦しみながら実験して行く事にアマチュア無線の醍醐味を感じておりますが、我々の技術や能力にも限界は有り何かこの辺の情報をお持ちの方は是非投稿して皆さんにお知らせ下さい。

ここで説明した内容に関し当研究会にて実験結果より推測したものが多く、事実と異なる部分もある事をご理解の上参考にして頂けたら幸いです。